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視覚に基づくロボットの多種行動の獲得及び統合方式の開発

本研究では、視覚を備えた移動ロボット群に統一の取れたチームプレイ動作を 行わせるためのロボット間の協調及び競合行動を視覚に基づいた強化学習 [12]によって獲得する手法を考案し、その有効性を実ロボットによる 実験によって検証する。特に、本研究では、物理的身体性を持ったロボットに 協調動作を行わせるには、いわゆる「アイ・コンタクト」のようなメッ セージ通信なしのコミュニケーションを実現することが重要であると考え、 そのための視覚機能や行動制御方式の研究を行う。

一般に認識・理解のこれまでの手法は、認識対象のモデルをプログラマが用意 し、実データとモデルとの照合を行うことによって実現されてきた。しかし、 モデルの妥当性や照合結果の評価を行うための基準が明確でなく、比較的簡単 な認識問題しか扱えなかった。本研究では、単独あるいはチームとしての他の ロボットの行動理解という高度な認識機能を実現するための方式として、環境 のモデルをロボット自身が学習を通して構築し、それに基づいて行動するとい うものを採る。こうした方式では、学習されたモデルの妥当性や、いわゆる認 識・理解の深さが、ロボットの物理的行動として現れ、行動を評価することに よってロボットの持つ認識能力を測ることができる。

具体的な問題設定としては、ロボットによるサッカー競技を取り上げ、ドリブ ル、シュートなどの個々のロボットの行動、パス、センタリングなどの複数ロ ボット間の協調行動、さらにはブロックなどの競争行動を視覚に基づいた学習 によって獲得するための方式の開発を目指す。この問題は、敵、味方に分かれ た多くのロボット群が存在するという環境の中で、他の個々のロボットの行動 理解及びチームとしての行動戦略パターンの理解などといった高度な視覚認識 の問題を含む。図10に現在整備中の実験環境を示す。

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Figure 10: 視覚に基づくロボットの多種行動の獲得研究の実験環境