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多機能高精度視覚センサの開発

通常のTVカメラは人が見るための画像を撮ることを目的として設計され ており、コンピュータに画像を入力し処理するための撮像装置としては多くの 問題点や限界がある[3]。我々は、絞り、フォーカス、視線の位置・ 方向などのカメラパラメータを規則的に変化させながら多数の画像(多重画像) を撮影し、それらを統合することにより、高精度かつ通常のTVカメラでは撮影 できない情報を持った画像を生成・合成する手法を提案し、その有効性を実験 によって示してきた[3][7][8]。

これまでに実世界での有効性が確認されたものとしては、次の2つのものがあ る。
1. 多重フォーカスカメラ:多重フォーカス画像を用いた実時間3次元距離計測用カメラ[7]
2. Appearance Sphere (APS):首振りカメラを用いた全方位画像の生成[8]

本プロジェクトでは、多重画像の統合という考え方に基づいた多機能高精度視 覚センサの開発を目指しており、このことは本プロジェクトの大きな特徴の1 つとなっている。

具体的には、1については、通常の3CCD TVカメラを改良して実時間で多重フォー カス画像が撮影できるカメラを試作し、基本性能の評価を行った。その結果、 実用的な実時間距離センサを実現するにはまだ幾つかの点についての研究・開 発が必要であるが、十分期待が持てることが分かっている[7]。

また、2のAPSについては、APS画像が撮影できるカメラ雲台の試作が終了し (図5)、現在はその性能評価、APS画像から任意のパン、チルト方向の画像 生成を実時間で行うソフトウェアの開発を進めている。

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Figure 5: 試作したAPSカメラ

APSは、首振りカメラを利用した視覚認識や3次元シーンに関する動的な映像 生成など様々な問題に利用可能な映像撮影法・視覚環境モデルである。本プロ ジェクトでは、APSを観測ステーションにおける基本撮像機構と考え、現在APS を利用した様々な画像認識・生成アルゴリズムの開発を進めている。これらの アルゴリズムについては、成果がまとまり次第、本研究会で発表する予定であ る。