動的3次元状況の柔軟な映像撮影・生成・表示方式の考案
[Previous]
[Index]
[Next]
本研究では、予め撮影・蓄積された映像を表示するだけでなく、利用者の意思
に基づき自由な視点から実世界中の対象の映像を取得し、それに関連した付随
情報をネットワークを介して柔軟に検索・生成・表示できる情報メディア環境
の構築を目的としている。言い換えると、本研究は、実世界と情報メディ
ア社会の統合化を実現するために分散協調視覚システムを利用するものと言
え、観測ステーション間の協調によって注視対象となる物体映像を最適に取得
する方法および、その映像を利用者に効果的に提示する方法を開発する。
このような機能が要求される問題の具体例としては、遠隔講義や会議など、
空間(場)を共有する複数の人間のグループがいくつかあり、それ
らのグループをネットワークで結び共同作業を実現することがある(下図)。
これらの問題では、臨場感を醸し出すための映像撮影・表示の方法や、
資料やデータとなどの付加情報を映像といかに融合させて表
示するかが重要となる。一方利用者から見ると、分散協調視覚システムは利用
者の情報メディア環境として機能し、実世界の実時間データへ自
由にアクセスできる環境が提供される。
具体的研究課題
- 対象モデルを利用した不完全映像の完全化
- 映像撮影資源の協調的割り当て方式の開発
- カメラ群の最適自動配置アルゴリズムの考案
- カメラワーク記述方式の考案
分散協調視覚システムを備えた講義室
予め決められた有限の観測環境の下で、利用者による自由な時点市や視線方向の
選択を可能とするため、対象に関するモデルを知識として用意し、観測ステーシ
ョンからの映像情報が不完全な場合でもモデルを利用した映像生成・合成により、
利用者には対象の完全な映像や情報を提示し続けることができるシステムを構築する。
実写映像とモデル映像の合成による対象の表示
多数の利用者が同じ場に関心を持ちその状況を見ようとする場合
(前出の講義室の状況)、同一の場に属す複数の異なった対象をそれぞれ
注視対象とした映像獲得が必要となる。この問題は、本質的に、
「複数の観測ステーションによる複数の移動対象の追跡」と同一であり、
そのため、映像撮影資源の協調的割り当て方式の開発は中心的な課題となる。
TVスタジオや講義室などの場では、場の幾何学的、光学的構造が予め分かっており、
そこで行われる行為には一定のシナリオがある。この様な場に関する知識と、
撮影に使用するカメラの特性や台数に関する情報を利用し、場で生じる
様々な動的状況を最も効果的に撮影するためのカメラ群の配置を自動決定する
アルゴリズムの考案を目指す。
現在、計算幾何学的アプローチでAPSカメラを前提とした最適配置アルゴリズム
の開発を進めている。
TVスタジオや映画撮影では、ふくすうのカメラで撮られた映像の動的な切り替えや編集
によって、見飽き無い映像の生成や製作者の意図の伝達などがなされている。
この研究では、分散協調視覚システムを用いて、こうした付加価値をもった映像生成を実現するための、カメラワーク記述方式の考案を目指す。現在、ネットワークに接続された複数の首振りカメラを対話的に制御し、効果的な映像獲得・生成を行うソフトウェアシステムおよび、一般のニュース、ドラマ映像で用いられているカメラワークを属性文法に基づいて記述する研究を進めている。
[Previous]
[Index]
[Next]
Last Update 1997.01.23