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PCクラスタの基本性能とアプリケーション

現在の基本ソフトウェアはまだ十分な最適化が行われておらず,十分な性能が 出ているとは言えない.現状の基本性能は以下のようなものである. これからもわかるように,同期機構のオーバーヘッドが大きいため,フルサイ ズのカラー画像では実時間(NTSCのフレーム速度である30fps)の処理は,今 の実装では不可能である.これは,我々が実装した同期機構の効率の問題だけ でなく,OSレベルの問題もあると考えられ,リアルタイムOSを利用するなどの 対応を考える必要がある.もちろん,以下に述べるように画像の空間的な解像 度を低減させることによって,時間的な解像度を保つことは可能である.

次に,現在の実装をベースに,簡単な実時間アプリケーション(実時間モーショ ンキャプチャ)を開発し,システムの有効性を評価した.PCクラスタは図 2.6に示すような構成を用いた.

Figure 2.6: モーションキャプチャにおける処理モジュールの構成
\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\epsfile{file=RIN/pipe_line.eps,width=0.7\textwidth} \end{center} \end{figure}

Figure 2.7: 実時間モーションキャプチャシステムの構成
(a) セットアップ
\begin{figure}
\begin{center}
\leavevmode
\subfigure[セットアップ]
{\epsfile...
...file{file=RIN/brite_shot2000.ps,width=0.28\textwidth}}
\end{center}\end{figure}
(b) 実験の様子

Image Capturing Module(ICM)
 
このモジュールは画像の獲得とリサイズ(320 x 240画素)を行う.ここで得 られた画像は,2DPMに転送される.

2-D Processing Module(2DPM)
 
このモジュールは2次元画像処理を行うモジュールであり,2次元的画像特徴 を抽出して3DPMに転送する.

3-D Processing Module(3DPM)
 
このモジュールは3次元情報抽出のモジュールである.2DPMから転送 された特徴情報から3次元モデルパラメータを抽出し,それをRPMに転 送する.

Real-time Rendering Module(RRM)
 
このモジュールは実時間の描画モジュールである.3DPMから転送され た3次元モデルパラメータをもとに,対象物を可視化する.

作成したシステムは,12個のカラーマーカを人間の各関節に装着したものを2 視点で観測して全身の動きを実時間で再構成するものである.処理の内容は, カメラで撮影した画像からカラーマーカを抽出し,2視点からの情報を基にカ ラーマーカの3次元位置を求め,人体の動きを推定するというものである.画 像の解像度を320 x 240画素に縮小することによって,30fpsのオンライ ンの実時間処理が可能であり,仮想空間における実時間インタラクション等に 利用できることを確認した(図2.7).また,6視点でカラー マーカを追跡するシステムについても基礎実験を行い,障害物による隠蔽を多 視点情報により回避できるアルゴリズムが30fpsで動作することを確認した.



wsbmaster@vision.kuee.kyoto-u.ac.jp