人間の情報処理の理解とその応用に関する研究

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平成14年度の研究成果のまとめと今後の展望

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(2)説明資料−b. 研究経緯概説

本柱の目指す「人間と共生する情報システム」を実現するには,神経生理学,心理学的観点からの人間の情報処理機能の解明から,言語・音声・画像・力学メディアといった多様なメディア情報処理,「しっくりとした」コミュニケーションを実現するためのヒューマン ⇔ マシン・リアルタイム・インタラクション,さらには身体性に焦点を当てたロボット研究といった幅広い専門分野を基盤とした学際的研究が不可欠である.

このため本柱では,神経生理学,心理学,マルチメディア情報処理およびロボット工学の立場からそれぞれ1つずつ計画研究を組織するとともに,上記の多様な専門分野の研究者を公募研究として集めた研究体制を作っている.なお,ロボット工学の立場からの計画研究は,その重要性が初期の研究活動の中で明らかになり,平成15年度より新たに組織したものである.この計画研究は,平成14年度まで公募研究として優れた研究成果を挙げている國吉康夫(東京大学・大学院情報理工学系研究科・助教授)および石黒 浩(大阪大学・工学研究科・教授)の両氏を中心メンバとして進めるもので,研究内容面ではこれまでのものの強化,拡充と位置づけられる.

本柱が目指す学際的な研究を効果的に進めるには,

  1. 経生理学および心理学研究と情報学研究との緊密な連携、成果の相互活用
  2. 多様な情報学的課題( II 〜 V )の共通基盤となる情報処理機構の確立が不可欠であり,これらを実現するために
    • 多様なテーマおよび徹底した討論を行う柱内研究会の定期的開催
    • 計画研究代表者および評価委員による厳密な研究評価を通じた研究目的,ゴールに合った公募研究の絞り込み・研究内容や方向性に対する領域内外の研究者・技術者からのフィードバックを行ってきた.

この結果,平成13〜15年度に行った合計9回の研究討論会を通じて,「人間と共生する情報システムの実現」という研究目的およびそのゴール実現のための具体的研究課題について多様な参加研究者の意識がうまく統一され,様々な連携研究が進められるようになっている.

特に,研究当初の段階では,非線形ダイナミカルシステム,マルチメディア認識,ロボットの行動生成,身体感覚に基づく行動学習といった,それぞれ異なった視点から進められていた研究が,先に述べた「自律ダイナミクスを持つ情報システムによる動的イベントの表現・学習・認識・生成」という統一的研究課題として統合されることが明らかになり,これを本柱の基盤的情報処理機構として今後重点的に研究を進めることとなったのは,これまでの研究討論,連携研究の大きな成果であるといえる.

また,研究評価の結果,平成13年度の公募研究23件中4件を非継続とし,平成14年度から新たに8件の公募研究が採択された.平成14年度は,公募研究27件中7件を非継続(うち2件を新規計画研究1件に統合)とし,平成15年度から新たに1件の計画研究と6件の公募研究が採択された.

一方,柱内での議論の結果,研究の輪を国際的にも広げることが提案され,平成14年11月に国際シンポジウムを開催したところ,産学を問わず国内外から170名を越える参加者を得た.シンポジウムでは,海外からの招待講演,柱における研究成果発表に加え,実用化に近いレベルになった研究成果についてのデモンストレーションを行い,産学連携による実用化研究への展開の機会にもなった.このように,産業界においても,また国際的にも本柱が目指す研究分野に対して大きな関心が持たれていることが明らかになった.こうした国際的研究活動は,今後も継続的に行っていく予定である.

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