複数の観測ステーションによる単一移動対象の共同注視

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複数の観測ステーションが関わる協調処理の最も基本的、かつ重要な機能とし ては、それらの協調によって、ある1つの移動対象を実時間で追跡し、対象に 関する多視点観測情報を統合することにより、その対象に関する詳細な(3次 元、運動)情報を獲得することがある。 こうした共同注視問題では、各観測ステーションでとらえた対象が同一 のものであるかどうかの認識が問題となり、そのために使う特徴および検証の ためのコミュニケーションをいかに行うかをまず考えなければならない。また、 複数のカメラによって、異なった視点から見た対象の像が多数得られるので、 それらから対象の(3次元)モデルを作成することも考えられる。さらに、一 方のカメラの視野から対象が出た場合や新たに入ってきた場合など、対象の多 様な運動をうまく追跡するための観測ステーション間のコミュニケーション法 も重要となる。
共同注視による動作認識
  1. まず、同一の動作クラス集合について学習した複数の観測ステーションを 用意する。この際、各観測ステーションの視野は互いに異なるため、各観測ス テーションにおいて学習された局所的な動作モデルの各状態を観測ステーショ ン間で対応付け、あらかじめ各動作クラスについて大局的な動作モデルを合成 しておく。合成された大局的モデルの各状態には、その状態の対象を観測可能 な観測ステーションの(名前,カメラパラメータの範囲)の組の集合を対応付 けておく。
  2. 各観測ステーションは、各時刻において遷移が起きた状態集合から対 象の動作に関する仮説を生成し(文献参照)、空でない仮説が生成 された時、大局的モデルを参照してその時点で視野を共有する他の観測ステー ション群を求め、それらに仮説を通知する。
  3. 通知を受けた観測ステーションは
  4. 仮説の共通部分に関する応答を受けた場合、各観測ステーションは、以 下の動作を行う。
  5. 2に戻る。
この手続きは、 の2つを繰り返し行なうことであり、単一の観測ステーションにおける選択的 注視手続きと同じようにイベント---アクションループとしてとらえることが できる。このように、イベント---アクションループを複数の観測ステーショ ンのグループに拡張することにより、シーン中の対象を多角的に観測し、より 信頼性の高い共同注視による動作認識を行うことができる(下図)。


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