観測ステーション間のコミュニケーションのための共通的情報表現基盤の確立

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分散配置された複数の観測ステーションが協調処理を行なうには、各観測ステー ションが観測した情報を相互に交換するための共通の枠組み、すなわち、各観 測ステーション間で共通とみなせる 1)時刻、 2)座標系とその下での各カメラ位置・方向、 3)画像特徴、が必要であり、これらを前提に して問題に応じた協調プロトコルの設計を 行うことになる。
時刻

ネットワークで接続された計算機間で共通の時刻を得るための 動的な時刻調整プロトコルとしてはすでにNTPが存在するが、この方式を用い て得られる時刻の精度が分散協調視覚に適しているか否かについては今後調査 を行い、十分な精度が得られない場合には画像を利用した共通時刻の決定法に ついても検討を行う。


カメラ位置

観測ステーションに取り付けられたカメラの位置を土木測量的に求めることは 非常に繁雑であり、カメラの取り付け位置のずれを補正する必要もあり、この ような計測を多数の観測ステーションについて行うことは事実上不可能である。 このため、1)カメラにおける3次元→2次元変換を透視投影に一致させるた めのカメラ内部パラメータ及び、2)カメラの絶対的位置と向き、を自動的に 求めるキャリブレーション法について検討を行っている。


画像特徴

各観測ステーションで撮られた画像は撮影条件が異なるため、視野を共有する観 測ステーション群の中でも同一の対象の見え方は異なる。また視野を共有しな い観測ステーションの間ではさらに照明条件が異なるため、同一の対象であっ ても一般に見え方は異なる。この様な場合、対象の同一性判定を行うためには、 撮影・照明条件に対して不変な正規化された対象固有の画像特徴を求める必要 がある。このような画像特徴としては、対象物体の色情報、剛体の場合には物 体の3次元形状が候補として考えられるが、任意の対象について観測画像から これらの物理的情報を正確に計算することは非常に困難である。この問題を一 般的に解くためには、画像特徴の物理的意味を特に問わず、複数の観測ステー ションで同一の対象を観測して得られた画像特徴を相互変換する変換式を統計 的に求めるというアプローチをとるべきである。今後はこの方針に沿って研究 を進める予定である。


カメラ制御プロトコル

カメラパラメータには、

がある。カメラの状態はこれらのパラメータの組として表され、その状態変化と撮 影される画像・映像の間の写像関係は非常に複雑なものになる。カメラを制御 する、特にある観測ステーションが他の観測ステーションのカメラを制御する 場合には、そうした写像関係に基づきカメラをコントロールする必要があり、 そのための制御プロトコルをどのように表現、記述するかが問題となる。上で 述べた、時刻、カメラ位置、画像特徴は、こうしたプロトコルを記述するため の基本要素となる。
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