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担当:松山 隆司,和田 俊和,東海 彰吾,日浦 慎作(京都大学)
本年度は,昨年度開発した多重フォーカスカメラおよびAPS(APpearance
Sphere)カメラに関して以下のような改良,拡張を行い,それらの機能拡張と
実用性の向上を図った.
- 昨年度開発した多重フォーカスカメラにテレセントリック光学系と構造化瞳を
付加したカメラシステムを開発し,従来のシステムでは測れなかったテクスチャ
を持った物体表面の3次元形状を計測できるようにした.
- フォーカスの異った(ぼけた)3枚の画像から,全ての点で
ピントが合った完全合焦画像を合成するアルゴリズムを考案した.これらの改
良・拡張により,1台のカメラで完全合焦画像と3次元距離画像が同時に撮影
できるセンサが実現できたことになる.
- 昨年度開発したAPSカメラ雲台を用いて360゜全方位全天空パノラマ
画像を合成し,それを様々な方法で表示するソフトウェアを開発し,屋外,屋
内実験によりその実用的有効性を実証した.
- 開発したAPSカメラ雲台は高精度であるが,サイズが大きい,回転速度
が遅い,ズームを変えることができない,といった実用上の問題点があった.
これらの問題を解決するため,APSカメラに近い特性を持った市販の首振りカ
メラを,APSカメラとして機能させるためのキャリブレーション・ソフトウェ
アを開発した.このソフトウェアを用いることにより,実用上はほぼAPSカメ
ラとして使用できることを実験によって示した.これによって,コンパクトで
回転速度が早く,かつズームも変えることができるAPSカメラが実現できたこ
とになる.本年度開発した対象追跡システム(本報告書の
および)では,全てこ
のカメラを用いており,その実用性は十分実証されている.なお、本年度より,
「APSカメラ」の代りに「視点固定型パン・チルト・ズームカメラ」と
いう,より技術内容が明確な名称を使うことにした.
Figure 15: 多重フォーカスカメラの構造と外観