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前年度の報告書で述べたように,本プロジェクトでは,有線・無線ネットワー
クで結ばれた多数の観測ステーション(多自由度カメラ雲台を備えた実
時間3次元画像・映像処理装置)や視覚機能を備えた移動ロボットにより,動
的に変化する世界の状況を多角的に観測し,
- 分散協調型状況理解:観測ステーション同士,
観測ステーションと移動ロボット,移動ロボット同士のコミュニケーション,
協調によって,動的に変化する実世界の多様な状況を実時間で把握する.
- 対話的実時間映像生成:理解の結果得られた状況記述やネッ
トワークを介して得た情報を人間に分かりやすい多様な形態の映像情報として
実時間で対話的に表現・生成・編集する.
ことを目的としている(図1).
Figure 1: 分散協調視覚システム
こうした分散協調視覚システムを利用すれば,
- 実時間広域監視・交通管制システムや
- 災害状況の実時間把握,危険回避システム
といった広域シーンを対象とした視覚認識システムのほか,
- 対話型遠隔会議・講義システム
- 対話型3次元立体テレビシステム・知的テレビスタジオ
- 商品・展示関心度モニタリングシステム
- 手術,芸術,スポーツなど高度な身体技能の詳細な映像記録の作成
- グループウェアシステム
さらには,
- 移動ロボットや身体障害者の対話的誘導システム
- サッカーなど移動ロボット群によるチームプレイの実現
が可能となる.(本プロジェクト研究の背景,目的,意義の詳細については,
昨年度の報告書を参照して頂きたい.)
本年度は,本プロジェクトで提案している基本的アイデアの具体化・理論モデ
ルの構築および,分散協調視覚システムを構成する基本要素技術の確立,プロ
トタイプシステムの開発を目指した研究を行い,以下に示すような大きな成果
が得られた.研究成果の一部は,アイデアの特許化,研究過程で生れたソフト
ウェアの実用化という形で具体的な実を結びつつある.