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分散協調型多体軌跡推定システムの開発

担当:吉田 紀彦(九州大学)

多数の移動対象が存在する世界において,空間的に分散配置された多数のセン サから得られた計測データに基づき各移動対象の運動軌跡を推定する問題を多 体軌跡推定問題といい,分散人工知能における代表的な問題の1つとなってい る.

たとえば,図 31 のように,2次元空間内で等速運動す る n 個の移動対象,ある時刻における対象の方位角を検出できる固定され た s 個のセンサを考える.各センサは図32 のように, 全対象の方位角データの時系列を測る(図の横軸は時間,縦軸は方位角). 多体軌跡推定とは,これら複数センサの得たデータを統合して全移動対象の 軌跡,すなわち初期位置と速度を求める問題である.

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Figure 32: センサデータの例
Figure 31: 多体軌跡推定

従来の多体軌跡推定アルゴリズムが全センサからの情報を中央の1プロセッサ に集約して集中型の処理を行っていたのに対して,本研究では複数プロセッサ を用いて分散協調型探索を行う分散協調型多体軌跡推定システムを提案する. このシステムではセンサ情報を近傍プロセッサのみに送り,プロセッサ間で中 間推定結果を適宜通信交換しながら処理を進める.昨年行ったシミュレーショ ン実験によって,この手法が十分な品質の解を焼き鈍し法よりも効率的に達成 しえることを明らかにした.

本年度は,このシステムに以下の改良,機能拡張を行い,実験によってその有 効性を実証した(詳細は,本報告書gifを参照).

  1. システムを実際の分散計算機環境に実装してシミュレーションの結 果を再確認する.
  2. 昨年のシステムも含め従来の研究が, まとまった入力データの集合から軌跡を推定するのに留まっていたのに対し, 入力される計測データストリームを順次処理しながら解を求めるアルゴリズム を考案する.
  3. 昨年のシステムも含め従来の研究が直線軌跡を前提としていたのに対し, 曲線軌跡の推定をも行えるようなアルゴリズムを実現する.