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研究の狙いと内容
- 柱長 計画研究代表者 松山 隆司 (京都大学 大学院情報学研究科)
- 計画研究代表者 入來 篤史 (東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 計画研究代表者 佐々木 正人 (東京大学 大学院情報学環)
- 計画研究代表者 國吉 康夫 (東京大学 大学院情報理工学系研究科)
人間と共生する機械を実現するには、
- 画像・映像メディア(視覚)
- 音声・音響メディア(聴覚)
- 言語・規則メディア(思考・推論)
- 力学メディア(触覚・体勢感覚)
といった多様なメディア・知覚系 を介した、人間・機械相互間のマルチモーダルな動的インタラクションを実現する必要がある(下図参照)。そのためには、人間側、機械側それぞれが知覚と行動を介してそうした動的インタラクションにどのようにかかわればよいのかに関する研究が重要となる。
特に本柱では、伝統的な「もの」の科学から「こと」の科学への転回を長期的研究ビジョンとし1、マルチメディアデータを介したマルチモーダルなリアルタイム・インタラクションを「こと」の有用な様相の1つと考え、人と「こと」との関わり合い方の解明および、人にやさしい「こと起し」の実現法の開発を目指す。こうした観点からの研究を通じて、情報学という新たな学問領域が目指すべき方向を探るとともに、情報学が社会とどのように関わり合っていくのか(役立つのか)を考えることが可能となり、情報学研究の社会的意義を明らかにできると考えられる。
具体的には、日常生活環境において人間と共生できる機械を実現するための基礎研究として、本柱では以下の課題を取り上げる。
- 知覚と行動の動的相互作用に焦点を当てた、人間の情報処理機能の解明を神経生理学および心理学の立場から行う。
- 言語・音声・画像・力学メディアを統合したマルチメディア情報の認識・表現方式の考案およびそのためのセンサ・処理装置・システムの開発
- 身体性の持つ情報学的意味の解明および知覚系・行動系を動的に統合化したシステムの実現
- 身体を含むマルチメディアを介したマルチモーダルなマン ⇔ マシン・リアルタイム・インタラクションの実現法に関する研究
図1: マルチメディアデータを介したマルチモーダルなリアルタイム・インタラクション
1この考え方は、柱長の私見であるが、それによると、情報とは「こと」の1つの様相であり、人間(機械)が、知識に基づいてデータ(「もの」)を解釈するという「こと」が起ることによって情報が生まれると言える。