分散協調視覚システムによる複数人物の協調的追跡 (2004年10月22日)
本研究では,視覚・行動・通信機能を持った能動視覚エージェント(AVA)が多数協調しながら対象を追跡し続ける協同注視をタスクとして,視覚・行動・通信機能の動的統合方式の研究を行った.
能動視覚エージェント群による複数対象の協調的追跡システムでは,以下の3つのレベルにおける相互作用によって,多様な動きをする複数対象を適応的に追跡する機能が実現される.
【モジュール間インタラクション】
1つのAVAを構成する視覚,行動,通信モジュール間の動的相互作用.そのためのメカニズムとしてはダイナミックメモリが使われる.
【エージェント間インタラクション】
同一の対象を追跡しているAVA群はエージェンシというグループにまとめられる.エージェンシにはエージェンシ・マネージャが置かれ,エージェンシに属するAVA群が観測した2次元対象情報を記録するためのダイナミックメモリの管理と,それらを基にした対象の3次元位置情報の計算を行う.逆にAVAはエージェンシ・マネージャからの3次元対象情報に基づきカメラの制御を行う.このように,エージェンシに属すAVA間では,対象情報の交換のためのインタラクションが行われる.
【エージェンシ間インタラクション】
複数の対象を同時に追跡している場合は,システム内に複数のエージェンシが形成される.複数の対象の多様な行動に適応して追跡を継続するには,エージェンシ同士でのインタラクションが必要となる.すなわち,メンバAVAのトレードによるエージェンシ間の負荷バランス,新たな対象の出現に対する新エージェンシの生成,複数対象の交差・分離に伴う複数エージェンシの融合・分割といったシステム構成の動的変更がエージェンシ・マネージャ間の通信によって実現される.
ビデオでは、10台のAVAからなる協調追跡システムによる複数対象の追跡の様子を表しており,あるAVAから見た場合に人物が重なりあっていてもうまく両者を区別して追跡ができる.