人間の情報処理の理解とその応用に関する研究

平成14年度の研究成果のまとめと今後の展望

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(2)説明資料−c. 研究構成

III. 「人を魅する」
  1. 部屋中どこにでも重畳表示:
    実世界環境モデルの自動獲得とユビキタスディスプレイへの利用(計画研究:松山班
    実環境のあらゆる表面に情報を重畳表示するユビキタスディスプレイ機能を実現するために不可欠となる,レンジセンサとカラーカメラを含む複数センサによる自動キャリブレーション手法を提案し,家具などの配置が動的に変化する室内環境において基礎的な評価実験を行った.
  2. 言葉では表せない意図を伝えるために:
    非言語的情報の実世界への提示とコミュニケーションの円滑化(公募研究:日浦班
    プロジェクタや人型ロボットを用いて実世界中に遠隔地からの非言語的情報を提示することで,共同作業では必須の指差しや手真似で果たされる意図伝達を実現し遠隔地間のコミュニケーションを円滑化する.
  3. 人が見ることができる領域をどこまで広げられるか:
    高精細全方位ビデオカメラとネットワークによるテレプレゼンス(公募研究:山澤班

    高精細全方位ビデオカメラとネットワークを組み合わせ,人間があたかも遠く離れた場所にいるかのように周りを見ることができる遠隔臨場感システムを開発した.
  4. 映像文化とマルチメディア技術の融合:
    人物行動を伝えるための映像文法を用いた知的映像撮影・編集システムの構築(公募研究:中村(裕)班)

    「効果的に情報を提示するために,どのような映像部品(単語)を用意し,どのような映像編集規則(文法)にしたがって提示すればよいか」という問題に対し,自動撮影システム,自動編集システムを構築しながら,映画等の種々の例との比較を行い,その有効性を確かめた.
  5. 耳元で語りかける:
    直交2軸スピーカーアレイによるスポット状局所的高音圧領域の形成(公募研究:溝口班)

    直交する2軸のスピーカーアレイによるスポット状高音圧分布の生成に取り組み,2軸スピーカーアレイのシミュレータと実システムとを開発した.この結果,実システムによるスポット状高音圧分布生成,すなわち「耳元で語りかける」効果の実現に成功した.
  6. ロボットの知能の力学的表現:
    引き込み現象を用いたロボットの運動生成(公募研究:岡田班)

    力学的情報処理系を階層化することで,センサ信号に基づいたロボットの運動生成機構を提案した.センサ信号の認識,運動の生成は力学系がアトラクタに引き込まれることによって行われている.また,これを用いてネットワークを構成することにより,運動のシーケンスを再生する機構を設計した.
  7. 動作により気持ちを伝えられるロボット:
    動作により情感伝達が可能なヒト型ロボットハンドの設計(公募研究:星野班

    ヒトの手指と同じ大きさ,同じ重さの5指ロボットハンドを設計した.同ハンドは拇指以外の4指間の開閉(アブダクション)が可能であり,また拇指と他指(たとえば小指)で輪を作ることも可能であるため,手話動作や,指先が細やかに動く舞踊動作が生成できる.さまざまな動作により伝達される印象や情感のデータベースを構築中なので,同知識に従って情感の籠もった動作をロボットハンドに生成させる.
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