人間の情報処理の理解とその応用に関する研究

平成14年度の研究成果のまとめと今後の展望

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(2)説明資料−c. 研究構成

IV. 「人と交わる」
  1. しっくりとしたコミュニケーションの実現(非拘束なマルチモーダル対話の実現):
    手で自由にコンピュータを操作できる拡張机型インターフェイスシステムの開発(計画研究:松山班)
    人の手・指の動作を非接触かつ実時間で安定に計測するための技術として,カルマンフィルタによる複数指先位置予測とフレーム間対応付けを用いた両手複数指先軌跡計測法を開発した.この手法を,机上に様々な情報をプロジェクタで投影しながら人がコンピュータとインタラクションを行う拡張机型インタフェースに適用し,左右の手の運動パターンの違いに基づいた新しいメニュー提示法などを開発し,その作業効率のよさを実験的に示した.
  2. 指コン・ロボット:
    指示動作に基づく人間とロボットとの動的なインタラクション(計画研究:松山班
    身体動作を介した人間とロボットとのインタラクションの実現を目指し,指示動作によって人間の意図通りにロボットを誘導するインタラクションモデルを検討し,人間の指示動作によるロボット誘導システムを構築した.
  3. 人にあわせて対話する:
    音声対話におけるユーザモデルを用いた適応的応答の生成(公募研究:河原班

    音声対話インタフェースにおいて,ユーザのモデルを知覚し,それに応じて適応的に応答を生成する枠組みを研究した.具体的には,システムに対する習熟度,タスクドメインに関する知識レベル,性急度の3つのユーザモデルを導入し,京都市バス運行情報案内システムにおいて有効性を確認した.
  4. 人に合わせて音声で会話するシステム:
    訂正発話の検出に基づく対話の誤解解消(公募研究:北岡班)

    人対システムの対話におけるシステムの誤認識に対し,人間が自然に行う繰り返し発話による訂正を検出することにより,システムが自身の誤解状態を検出し,また認識にフィードバックして誤解解消に役立てることができた.
  5. 複数の話者と同時に交わる:
    聴覚と視覚情報を複数のレベルで実時間統合による複数話者追跡(公募研究:奥乃班)

    自然で柔軟なコミュニケーションを実現するには,環境知覚が重要であるが聴覚による環境知覚は従来あまり取り組まれてこなかった.本研究では,聴覚と視覚情報を統合した方向通過型フィルタを能動的に使用するアクティブオーディションを実現し,ヒューマノイドロボットで複数話者同時認識の可能性を実証した.
  6. 力学メディアを介したインタラクション:
    皮膚感覚インターフェースの開発(公募研究:篠田班)

    皮膚感覚のメカニズムや人間の心理・知的活動との関係を解明し,皮膚によるインターフェースの可能性を検討した.
  7. 仮想連続体を触る:
    アクティブ多面体によるフィジカルマンマシンインタラクション(公募研究:鈴森班

    マイクロセンサとアクチュエータを集積することにより,様々な形状や動きを提示するリンク機構(アクティブ多面体)を開発し,PC内に構築した多面体との力学,運動学のインタラクションを実現した.
  8. インタフェースにおける間とは何か?:
    「間」の共創メカニズムに関する研究(公募研究:三宅班)

    「間」はコミュニケーションにおいて共創されるものと捉え,そのメカニズムを解析している.具体的には,同期タッピング課題を用いて,予測的タイミング制御との関係から実験的解析を進めた.その結果,Working Memory等の脳高次機能に関わるプロセスとそれが関わらない身体化されたプロセスの2種類の過程から間が創出されるがことが初めて明らかにされた.この知見によって,間の共創メカニズムに関する心理学的基盤が確立された.今後,これを踏まえて更に解析を進めるとともに,間の共創を支援するインタフェースの設計論へ進む予定である.
  9. 円滑な対話と「間」の取り方:
    円滑な対話を形成する「間」の役割(公募研究:中村(敏)班

    対話を円滑にするために「間」が果たす役割を解明しモデル化することによって,日本文化の根源ともいわれる「間」の感性を備えたインターフェースを設計する.
  10. 「間」の取り方と対人関係:
    対話における「間」の取り方が対人関係に及ぼす影響(公募研究:中村(敏)班

    対話においてどのように「間」を取るかということが対人関係の評価に影響を及ぼす.これを解明することによって,良好な人間関係構築のための対話における「間」の取り方についてモデル化を検討する.
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