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観測ステーション間のコミュニケーションのための 共通的情報表現基盤の確立

分散配置された複数の観測ステーションの間で、それぞれが観測した情報を交 換するには何らかの共通の枠組み(基準、言語)が必要である。先に述べた共 同注視による動作認識では、同一の対象の動作を同時に学習させることによっ て、観測ステーション間のコミュニケーションの共通基盤が作られることにな るが、一般的にはそうした学習を行わせることは困難である。また、各観測ス テーションにおけるカメラの位置や動きを共通の世界座標系によって記述して おくことも考えられるが、そのためのキャリブレーションは容易ではない。特 に、観測ステーション間の距離が大きく離れている場合には、土木測量的キャ リブレーションも必要となる。

本研究では、実世界において物理的に裏付けられた水平・垂直軸といった幾何 学的基準軸や同時刻性、さらには幾何学的、光学的不変特徴を利用した、 観測ステーション間のコミュニケーションのための情報の共通表現基盤の設定 および、それらを利用したメッセージの記述法について研究する。

具体的な研究課題としては、次のようなものがある。

複数カメラの同時キャリブレーション:
一般に固定カメラの場合でも、そのカメラパラメータを正確にキャリブレーショ ンするのは容易なことではない。これに加えて首振りカメラの場合は、首振り 運動と幾何学的基準軸との間の関係を求めるキャリブレーションをどのように 行えばよいか、など多くの問題がある。
不変特徴:
各観測ステーションで撮られた画像は、ある特定の位置、視線方向からの観測 データであり、それをそのまま他の位置にある観測ステーションに伝えても意 味をなさない。両者の間のコミュニケーションを実現するには、何らかの幾何 学的、光学的不変特徴を求める必要がある。
カメラ制御プロトコル:
カメラパラメータには、光学的なもの(フォーカス、焦点距離、絞り、シャッ タースピード、レンズ特性)と幾何学的なもの(投影中心、視線方向、倍率)、 さらにはディジタル化に関するもの(サンプリング間隔、量子化レベル)があ る。カメラの状態はこれらのパラメータの組として表され、その状態変化と撮 影される画像・映像の間の写像関係は非常に複雑なものになる。カメラを制御 する、特にある観測ステーションが他の観測ステーションのカメラを制御する 場合には、そうした写像関係に基づきカメラをコントロールする必要があり、 そのための制御プロトコルをどのように表現、記述するかが問題となる。