一般的状況では、シーンには複数の移動対象があり、システム全体としては、 それらの運動状況をすべて把握し追跡することが要求される。しかし、個々の 観測ステーションの視野や処理能力には自ずと限界があり、ある時点である対 象を追跡するのに適した観測ステーションは動的に変化する。また、前述のよ うに対象の詳細な形状、運動情報を獲得するには複数の観測ステーションによ る共同注視が必要となる。さらに、複数の利用者が異なった目的で同一シーン の状況を把握しようとする場合には、システムはそうした多数のタスクを同時 に実行しなければならない。
これらの問題を解決するには、複数の観測ステーションが動的にうまく作業分 担をして、複数の移動対象を適応的に追跡するためのDynamic Task Sharingが 必要となる。こうした機能を図4に示したシステム上で実現し、実世界での有 効性を実証することが、分散協調視覚研究の最終ゴールである。