プロジェクト研究会の活動概要

昨年度行った第４回〜１０回のプロジェクト研究会に引続き，本年度は，以下に 示す第１１回から第１７回の研究会を開催し，プロジェクトのメンバによる研究 発表，討論を行った．

• 第１１回プロジェクト研究会（平成１０年５月８日，京都大学）
  出席者：松山，和田，東海，日浦，亀田，浅田，鈴木，出口，池内， 影沢，谷口，有田，吉田，向川，杉本
  内容：以下の２件の研究報告が行われ，内容について議論した．
  • 吉岡（京大松山研）
    「IMAP-VISIONドライバについて」：
    プロジェクトの基盤ハードウェアである，並列型高速画像処理ボード IMAP-VISIONのドライバについての説明と，ソフトウェアの配布方法 について説明した．

  • 吉田（九大）
    「多体軌跡推定について」：
    複数のセンサから得られる運動物体の方位データから，物体群の運動軌跡を 推定する方法についての報告がなされた．複数のセンサを使用したシ ステムでは，それぞれのセンサが何時計測したデータかが分かってい ることが重要であり，分散したセンサ間での時計のずれや同期した計 測の方法について議論した．

  この他，以下の点について話し合いを行った．

  • 今年度の国際ワークショップの開催時期や招待講演者への依頼について
  • ７月末の MIRU'98シンポジウムでのオーガナイズドセッションについて
  • 阪大で開発した計算機によるラジコン自動車制御講習会について

• 第１２回プロジェクト研究会（平成１０年６月１６日，京都大学）
  出席者：松山，和田，東海，日浦，角所，亀田，浅田，鈴木，出口， 池内，谷口，有田，尺長，向川，杉本
  内容：以下の２件の研究報告が行われ，内容について議論した．
  • 亀田（京大）
    「３次元講義空間の動的状況把握による映像生成法」：
    講義室に設置した複数のカメラから得られる映像を基に，講義とそれに 付随する付加情報を提示する方法の研究として行っている，複数のカメラから得 られる講師のシルエット像から，複数の計算機を用いて，パイプライ ン処理によって高速に講師の３次元的像を計算する方法について説明 があった．発表を受け，カメラ群の撮影時刻の同期問題について議 論した．

  • 池内（東大）
    「池内研究室のこれまでの研究の概要説明」：
    池内研（CMU，東大）でのこれまでの研究として，実空間中の物体の幾 何学的形状や光学的性質を反映した映像生成法，仮想的物体を実際 のシーンの映像と合成するための方法などについて説明があった．

  この他，以下の点について話し合いを行った．

  • １１月開催の国際ワークショップの暫定的プログラムの構成と今後 の準備作業，招待講演者について
  • 阪大での計算機によるラジコン自動車制御方式講習会の開催確認について

• 第１３回プロジェクト研究会 （平成１０年７月１５日，東京大学生産技術研究所）
  出席者：松山，和田，東海，角所，亀田，浅田，鈴木，谷口，有田， 出口，池内，佐藤，影沢，向川，杉本
  内容：以下の２件の研究報告が行われ，内容について議論した．
  • 有田（九大）
    「ＰＣクラスタによる実時間並列ビデオ画像処理」：
    複数のＰＣを高速なネットワークで接続したＰＣクラスタによって， 高速画像処理を実現するためのシステムおよび，システムが用いている処 理の同期機能の説明がなされた．カメラアクションなどを考えるとそ の部分のボトルネックはどうか，具体的なアプリケーションを示すべ きではないかなどの意見がでた．また，プロジェクトの共通基盤 技術として共有することに関して検討した．

  • 和田（京大）
    「複数のカメラを用いた選択的注視に基づく動作認識」：
    すでに報告されている選択的注視に基づく動作認識を複数視点に拡張 し，個々の対象を表す「トークン」の概念を導入することによって， 複雑な映像の中から，「入室／退室」という動作を行った人数をカウ ントする方法について説明があった．この中で用いている有限状態非決定 性オートマトンがなぜ必要かなどについて議論した．

  この他，以下の点について話し合いを行った．

  • IMAP-VISIONの動作状況の確認
  • １１月開催の国際ワークショップの暫定的プログラムの構成と今後 の準備作業，決定した招待講演者について
  • 阪大での計算機によるラジコン自動車制御方式講習会の開催確認について

• 第１４回プロジェクト研究会（平成１０年９月８日，京都大学）
  出席者：松山，和田，東海，日浦，美濃，角所，亀田，浅田，鈴木， 出口，池内，影沢，尺長，谷口，有田，吉田，杉本， Andre Gagalowbicz（INRIA，仏）， Philippe Perez（仏大使館科学技術部）
  内容：以下の１件の講演，１件の研究報告がなされた．
  • Andre Gagalowicz（INRIA，仏）
    「Use of image analysis / synthesis techniques for multimedia applications」：
    ３Ｄシーンの３次元的構造を認識・表示する方法として，モデルに基づいた 画像の生成，実際に撮影された画像とモデルとのマッチングに基づく方法につ いての講演を行った．

  • 尺長（岡山大）
    「分散協調視覚による人物の検出／追跡／登録／認識」：
    固有顔画像を利用した人の顔認識のために必要となる，様々な方向や照明条 件の下で顔画像を撮影し蓄積するための，複数のカメラを用いたシステムに ついて報告がなされた．具体的に，どのような画像を撮影しておけば， 人物の認識が可能かなどについて質問があった．

  この他，以下の点について話し合いを行った．

  • IMAP-VISIONの動作状況の確認（不具合の報告，動作環境など）
  • １１月開催の国際ワークショップの準備作業について（日程，デモ 準備，予稿準備など）

• 第１５回プロジェクト研究会（平成１０年１０月５日，京都大学）
  出席者：松山，和田，東海，日浦，美濃，角所，亀田，浅田，鈴木， 池内，木村，尺長，谷口，有田，吉田，浮田（松山研Ｄ１）
  内容：以下の標題で討論を行った．
  • 「ＣＤＶにおける状態とダイナミックスについて」：
    分散協調視覚システムが動的なシーンの状況に対応して機能するため に必要な，シーンの持つ動的な性質の取り扱いと，システムの持つ動 的な性質の取り扱いについて，各メンバがそれぞれ作成したポジショ ンペーパに基づいて討論した．この中で，「モデル」や「記憶」の考 え方について議論した．

  この他，１１月開催のワークショップの準備作業について話し合いを 行った．

  • 最終的なプログラム，各セッションのチェアパーソンの決定
  • デモの内容と準備状況の確認
  • 予稿集の準備作業状況の確認など

• 第１６回プロジェクト研究会（平成１０年１２月１５日，九州大学）
  出席者：松山，和田，東海，日浦，美濃，角所，亀田，浅田，鈴木， 池内，木村，谷口，有田，尺長，向川，出口，吉田
  内容：
  • 池内（東大）
    「Assembly Plan from Observation」：
    人間の行う部品組立の行程をロボットに行わせるための方法の開発に ついて，池内研でのこれまでの研究の展開を説明した．具体的には， 面接触関係記述とその推移関係のモデルに基づくロボットの行動プラ ンニングおよび，物体の移動に関するビジョンからのフィードバックを行 う場合の，パラメータ空間での補正による操作の洗練化などについて説 明があった．今後の課題として，ロボット側の熟達や，人間とロボッ トとの協調オペレーション（コラボレーション）がある．この中で， 動的な性質（時間の要素）の扱いや，複数のロボットや人間を含めた 協調・役割分担の方法について議論した．また，タスクを協調的 に解決するためのスケジューリングや，何についてのスケジューリン グを行うべきかなどの話が出た．

  この他，以下の点について話し合いを行った．

  • 知能情報・高度情報処理シンポジウムについての打ち合せ

  • 今年度の研究成果報告書作成に関する打ち合せ

• 第１７回プロジェクト研究会（平成１１年３月２０日，京都大学）
  出席者： 松山，和田，東海，日浦，美濃，角所，亀田，浅田，鈴木，内部， 出口，谷口，有田，吉田，影沢，木村，向川，杉本
  内容：下記内容に関する研究討論を行い，来年度の研究計画を策定した．
  • 松山（京大）
    「京大松山研における過去３年間の研究成果概要」：
    京大松山研において平成８年度〜平成１０年度に行われたプロジェクトに関わる研 究成果の概要について報告を行った．この中で，動的なシーンおよび システムを扱うためのダイナミックビジョンという概念についてにつ いて説明を行い，知覚・行動・通信の各モジュール間，さらに，各エー ジェント間での同期などの時間の取り扱いについて議論した．

  • 来年度のプロジェクト研究計画として，以下の点について話し 合いを行った．
    • ソフトウェアプロダクト，ハードウェアプロダクト， 特許など，プロジェクトの成果・技術の公開を図る．
    • 研究会を継続的に行い，上記の点を踏まえた各メンバ の研究の進め方について引続き議論する．
    • １１月中旬〜下旬に第３回の国際ワークショップを開 催する．