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Next: 分散協調視覚研究の目的

分散協調視覚プロジェクト
−分散協調視覚研究、システム開発の概要−

松山隆司(京都大学)浅田稔(大阪大学)
美濃導彦(京都大学)和田俊和(岡山大学)

本論文では、筆者らが中心となり、本年度より5年間の計画で開始した分散協 調視覚に関する研究プロジェクトについて、その背景、目的を述べたのち、具 体的な研究課題とアプローチの方法を示す。

分散協調視覚システムでは、有線・無線ネットワークで結ばれた多数の観測ス テーション(多自由度カメラ雲台を備えた実時間3次元画像・映像処理装置) や視覚機能を備えた移動ロボットにより、動的に変化する実世界の状況を多角 的に観測し、以下の2つの機能を実現することを目的としている。
1. 分散協調型状況理解:観測ステーション同士、観測ステーションと 移動ロボット、移動ロボット同士のコミュニケーション、協調によって、動的 に変化する実世界の多様な状況を実時間で把握する。
2. 対話的実時間映像生成:理解の結果得られた状況記述やネッ トワークを介して得た情報を人間に分かりやすい多様な形態の映像情報として 実時間で対話的に表現・生成・編集する。

こうした分散協調視覚システムを利用すれば、実時間広域監視・交通管制シス テムといった広域シーンを対象とした視覚認識システムのほか、対話型遠隔会 議・講義システム、対話型3次元立体テレビシステム・知的テレビスタジオ、 手術、芸術、スポーツなど高度な身体技能の詳細な映像記録の作成、さらには、 移動ロボットや身体障害者の対話的誘導システムや、サッカーなど移動ロボッ ト群によるチームプレイが実現できる。本研究プロジェクトでは、これらの個 別的応用システムの構築を目指すのではなく、それらのプラットフォームとな る分散協調型実時間3次元視覚情報処理機構を実現するための基盤技術、特に、 ネットワーク接続されたマルチカメラによる多角的映像撮影・処理手法、分散 協調視覚システム内部およびシステムと外的世界との協調的相互作用・コミュ ニケーション方式を重点的に研究する。

Cooperative Distributed Vision Project
- Overview of the Project -

T. Matsuyama (Kyoto Univ.)M. Asada (Osaka Univ.)
M. Minoh (Kyoto Univ.)T. Wada (Okayama Univ.)

This paper gives an overview of our 5 years project on Cooperative Distributed Vision (CDV, in short). The goal of CDV is summarized as follows. Embed in the real world Observation Stations (real time image processors with versatile camera control capabilities) and mobile robots with vision, and realize
1. robust, flexible, and real time real world scene understanding
2. versatile image media capturing, generation, and editting.

Applications of CDV include Real Time Wide Area Surveillance, Remote Conference and Lecture Systems, Interactive 3D TV and Intelligent TV Stadium, Navigation and Guidance of Mobile Robots and Disabled People, and Cooperative Soccer Robots. The aim of the project is not to develop these specific application systems but to establish scientific and engineering foundations to realize CDV systems enough capable to work persistently in the real world. We focus on such topics as versatile imaging methods using multiple network-connected cameras, cooperative interaction and communication methods between observation stations as well as between a CDV system and the real world.